賃貸物件を借りるときや、売買物件を買うときに行う重要事項説明(重説)。
しかしごく稀に、下記のようなケースがあります。
先日不動産の契約をしたのですが、
重要事項説明を受けていません。
これって違法じゃないんですか?
それは宅建業法違反の可能性があります。
以下の記事で、詳しく解説します。
はい。不動産の契約にあたり、「重要事項説明を受けていない」
という方がごく稀にいらっしゃいます。
結論からいうと、原則、重要事項説明をしないと、
宅建業法違反になり、不動産会社は法律に基づく処分の対象になります。
ただし、例外として、
「重要事項説明をしなくても違法でないケース」もあります。
そこで本記事では、重要事項説明(重説)を受けていない場合に
- 違法になるケース
- 違法にならないケース(例外)
について解説します!
違法になるケース
取引態様が「媒介」「代理」「売主」の場合
不動産取引では、「取引態様」というものがあります。
【不動産の取引態様】
- 賃貸物件の場合:「貸主」「媒介」「代理」
- 売買物件の場合:「売主」「媒介」「代理」
結論、この取引態様が「媒介・代理・売主」であるのに、
重要事項説明を受けていない場合は、違法となります。
(取引態様が”貸主”以外の場合は違法になるということです)
取引態様の調べ方については、最も簡単なのは、
不動産会社に直接きいてみることです。
「この物件は”媒介”物件ですか?」ときいてみましょう。
特に賃貸の場合、大抵は媒介物件になります。
また、取引態様は、不動産会社からもらった
物件の資料(販売図面など)にも通常は記載がありますので、
確認してみましょう。
なぜ違法になるのか
重説を行わずに不動産の賃貸借契約・売買契約をすると、原則違法です。
理由は、重要事項説明は不動産の契約より前に行うもの
として宅建業法で定められているからです。
というのも、重説は本来、
「その物件を契約するかどうかの判断材料として、
告知しておくべき重要な事項を事前に説明する」
というものです。
つまり本来は、下記のような流れになります。
「重説→その物件を契約すると決める→契約」
そのため、重要事項説明は、必ず契約より前に行うものなのです。
よって、重説をしないで物件の契約をした場合は違法となります。
ただし、業界全体として、実務上は
「その物件を契約すると決める→重説→契約」
という流れで進めています。
理由は、重説書の作成と重説には多くの時間と手間がかかるため、
契約するかどうかわからない物件の重説を毎回行うのは非効率だからです。
この流れであっても、重説は契約前に行っているので、
法律上問題はありません。
違法にならないケース
取引態様が「貸主」の場合
例外的に、重説を受けていない場合でも違法にならないケースが、
前述の取引態様が「貸主」の場合です。
なお、取引態様「貸主」とは、
その物件を紹介した不動産会社自体が物件の貸主(=大家さん)で、
間に仲介業者をはさまず直接取引する、という意味です。
取引態様を調べる際は、不動産会社に連絡し直接きくか、
不動産会社からもらった物件資料を見て、確認しましょう。
なぜ違法ではないのか
取引態様が「貸主」の場合、重説をしなくても違法でない理由は、
宅建業法の対象にならないからです。
まず、宅建業法とは、不動産取引等について定めた法律です。
この宅建業法において、重説を行うことが義務づけられています。
しかしこの宅建業法は、「自ら貸主」の不動産取引には適用されません。
「自ら貸主」とは、賃貸物件を貸す人(オーナー)が、
間に仲介業者を入れずに、借りる人(借主)と直接取引をするケースです。
そして、前述の「取引態様 ”貸主”」は、「自ら貸主」と同じ意味です。
つまり、取引態様が「貸主」の物件は、宅建業法の適用外となります。
そのため、宅建業法で定められている、重説の実施義務がなく、
重説を行わなくても違法にはならないのです。
違法かな?と思ったら
違法かな?思ったときの相談窓口
もし、上記の違法のケース・違法でないケースの説明を読んだうえで、
「やっぱり違法っぽい・・・」と思った方は、
国土交通省もしくは都道府県庁に相談しましょう。
なお、不動産会社の店舗・事務所が、
複数の都道府県にある場合と1つの都道府県にしかない場合とで
相談先が下記のように異なります。
【違法かな?と思った時の相談窓口】
- 事務所が複数の都道府県にある:国土交通省に相談
- 事務所が1つの都道府県にしかない:その都道府県庁に相談
まとめ
重要事項説明を受けていない場合は、
取引態様を確認し、「貸主」以外であれば、
前述の国土交通省もしくは都道府県庁に相談しましょう。
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